いつも空は、曇りときどき晴れ

自分史、人生曇り空ばかりだけど、ときどき晴れがちょうどいい時もある

寡黙と内弁慶〜幼稚園

幼稚園に入園するまでまったく気づかなかった。

私が極度の内弁慶で寡黙だということを。

 

私には5つ年上の兄がいる。

兄は活発で運動ができる。

遊びの工夫をして、近所中の子供ら数十人を統率する。

兄のおかげで、私は家から外へ飛び出していけた。

集団遊びがすごく楽しかった。

兄が率いる集団は、とにかく面白いし魅力的だった。

兄の真似をして、男の子になりたいと切に思っていた。

 

それが、幼稚園入園してから私は自分の大問題に気づく。

幼稚園では、なぜか声がまったく出ない。

幼稚園という場所は、怖いところだと思った。

なぜなら、見知らぬ子供らがたくさんいて、大騒ぎしていたから。

見知らぬ人…

 

おとなしそうな女の子には、少し安心して一緒にいれた。

でも、おとなしそうな女の子ですら、全然しゃべらない私をつまらないと思ったのか私を避けるようになる。

活発で明るい子は、遊びの中心にいて、玩具や遊具を占領する。

皆んなの邪魔にならないように教室の隅っこにいた記憶が残る。

3年間、私は一度も玩具や遊具で遊べなかったほど、内弁慶で寡黙で消極的だった。

木製のおままごと道具を触れたい強い思いが記憶に残っている。

指をくわえて羨ましそうに眺めているだけの子供だった。

唯一、遊び道具だったのはクレヨンと落書き帳だった。

毎日毎日、クレヨンで絵を黙々と描いていた。

でも、落書き帳ですら真っ白な用紙がなくなる。

職員室に100円を持っていき、落書き帳を買いたいと言えば落書き帳がもらえる。

それなのに私は親に100円が欲しいと言えなかった。

また、職員室という怖い場所に行く勇気がまったくなくて、最初から諦めていたのを覚えてる。

3年間で1冊の落書き帳で小さく小さく絵を描いてしのいだ。

隙間を見つけ小さく描き、隙間を探しに探して見つけ小さく描き……

幼稚園の時間がすごくつまらなくて嫌いだった。

 

鮮明に覚えていることがある。

ある時間。

先生がこう言った。

 

「今から友達の絵を描きます、2人組になってください。」

 

私の背筋が凍ったのを覚えてる。

おとなしそうな女の子……探す。

私と似た感じの子がコスモス組にいる。

のぶ子ちゃんだ。

私は慌ててのぶ子ちゃんに近づき、手を差し出した。

声が出ない、出ない。

(わたしと、くんでくれる?)

 

のぶ子ちゃんは、私をマジマジと見た。

でも、そっぽを向いて別の人のところへ行ってしまったんだ。

 

女子人数は奇数だった。

 

2人組になって楽しげな女子ら。

私は、1人になってしまった。

ペアが組めたらしゃがむ指示だったから、教室で私1人つっ立っていなきゃいけなくなった。

 

恥ずかしくて赤面して涙がほろほろ出たのを覚えている。

はやく、はやく、家に帰りたい!

近所の皆んなと遊びたい!

帰りたい…

 

私は余った男子とペアを組むことになった。

男女ペアになり、コスモス組の皆んなにひやかされた。

恥ずかしかった。

涙を流しながら相手の男子の似顔絵を描いた。

 

 

幼稚園では絶対トイレにはいけない。

我慢をひたすらしていた。

帰宅したらトイレにいく。

幼稚園のトイレは男女共同で、女の子がトイレでしている最中に、男子数人が上から覗くのだ。

活発な女子らは男子をけちらす。

それができない私は、ひたすらトイレにいくのを我慢するしかなかった。

トイレが使えなくて、すごく不便だったのを覚えてる。

 

 

唯一、幼稚園で好きな時間がある。

昼休み時間だった。

昼休み時間は、バラ組のまゆみちゃんに会いに行ける。

まゆみちゃんを見ると、すごくほっとした。

まゆみちゃんがいると、声が出るのだ。

まゆみちゃんがいると安心する。

2人でハンカチ折をして遊んでいた。

 

 

どうやら、幼稚園は向いていない。

外の遊具でコスモス組の皆んなが体をつかって遊ぶ。

私は、集団に入っていけない。

怖かった。

女子らの集団が怖いと感じたのだ。

悪口を言われているのを知っていた。

だから、なおさら集団に入っていけなかった。

 

男子らは、兄が率いる近所子供らと違う感じがした。

ひやかしたり、いたずらしたり、獲物をしとめたいかのような勢いで…怖かった。

 

兄ちゃんは、年上だから…

幼稚園の男子らは野蛮だなぁ…

 

園庭でも隅っこで1人ぽつんとしていた。

はやく幼稚園が終わって欲しいと切に願ったのを覚えてる。

 

幼稚園を卒園して、どんなに私が喜んだことだろう。

私は、まゆみちゃん以外、友達はできなくて3年間を過ごした。

話せなければ、声を出さなければ、

誰も相手にしてくれないのだ。

誰も誰も、私の存在に気づいてくれなかったという痛みだけを知った幼稚園生活だった。

 

どうして、声が出なくなるんだろう。

家や近所では平気なのに……