いつも空は、曇りときどき晴れ

自分史、人生曇り空ばかりだけど、ときどき晴れがちょうどいい時もある

中学、恋は盲目、毎日学校に行きたい

中学2年の春、私は小動物から普通の女の子に変化してきた。

人生一大事だ。

意識が一変すると、人はこうでも変わるものなんだと実感した14歳。

恋なんて無縁の世界だと思っていた小動物。

兄はよく私をヘビ女とか小動物だとかいい、野生的な子供だと思っているようだった。

なんせ、木登りしたり、近所の塀にのぼって、つたって歩いたり、近所の庭に潜入したり、人が入りそうにもない狭い狭い穴やトンネルをくぐって、猫を追いかけていたからだ。

しかも、夜中にこっそり家を出て…

泥んこだらけになって、かすり傷だらけで、1人で。

猫の道を探していたのは、小学5年から中学1年までだ。

中学2年の春、意識の変化で、猫の道を卒業してしまうのだ。

本当は、まだまだ猫の道を探していたかった。

幼馴染のまゆみちゃんに注意されるし、近所迷惑も小学生まで許されるものだし、なんせ、猫の道よりも興味を持つ人ができたからだ。

猫の道への憧れが負けた。

人への憧れが勝つようになった。

 

中学2年、夏休み前。

小学生の時は、学校が大嫌いだった。

休みたくて休みたくて仕方がなかった。

それでも、休まず小学校に通っていた。

あぁ〜この世に学校なんてなくなればいいのにって。

真剣に考えていた。

それが一変してしまう。

『あぁ〜この世に夏休みなんてなくなればいいのに!』

中学が楽しくて仕方がないのだ。

個性的な友人ができたし、

好きな人ができた。

クラスは違うけど、隣のクラスだから、廊下ですれ違うだけで大満足だった。

すれ違う数秒、一目見られれば、1日がバラ色のようになり嬉しくて嬉しくて、生きかえった気分になるのだ。

一目見られれば…

毎日学校へ行きたい。

数秒のために!!

日曜日と祝日が一番嫌いな曜日になった。

そして、もっと嫌いなのは夏休みだ。

学校になんで夏休みがあるのだろうか…真剣に考えてたおバカもの。

夏休みなんて嫌いだ〜

 

ヘビ女、あきらめない。

夏休みにダイシに会う方法を考えるのだ。

数秒でいいから、会う方法。

そして、ある情報を入手する。

ダイシが強制で夏休み補習メンバーに選ばれたという情報。

めいちゃん情報、感謝なり。

学年全体で、成績の悪い人たちが教師陣に呼ばれ、夏休み補習を受けるのだ。

しかも、教師陣に呼ばれなくても、希望制で夏休み補習を受講することができる。

 

よし、私も受講しよう。

夏休みでも会えるし、同じ教室で授業が受けられる。

同じ教室で…夢のような話だ。

 

夏休みに入って、私は朝の4時に小学校へ行き走る習慣をはじめた。

走ったあと、帰宅してすぐに朝風呂に入る。

朝ごはんを食べて、制服に着替えて、夏休み登校するのだ。

 

嬉しくて嬉しくて…ドキドキしていた。

緊張感が高まる。

 

教室のドアを恐る恐るゆっくり開けた。

隙間から顔を少しのぞかせる。

教室を見回しダイシを探す。

いた!

その瞬間、鼓動が急にはやくなり、なかなか教室に入ることができなかった。

 

あっ、あっ、やっぱり、無理だ。

同じ教室に入るなんて、心臓がもたん。

一目見れたから…もう満足。

帰ろう…

帰ろう……でも、もう少し見ていたい。

鼓動がさらに速くなるのを感じて、手が震えた。

ドアをゆっくりゆっくり音を立てないように、

閉めた。

 

はぁぁ…限界だ。

私には…これで精一杯。

帰ろう。

満足、満足。

 

私は、補習を受けずに帰ってしまった。

家路をとぼとぼ歩いていた。

緊張感が抜け、放心状態だったからだ。

どうやら…

私は、小動物には積極的になれるのに、好きな人には積極的になれないおバカものなんだな…

はぁぁ…

 

次の日。

小学校のグランドを走りながら考えていた。

今日も一目見たいから、補習の教室をのぞきに行こう。

風呂からあがり、制服を着る。

制服が乱れていないか何度も確認する。

よし、いざ、出陣だ!

 

大げさな自分。

たったそれだけの行動が私にとっては、戦地に行く心構えなのだ。

それくらい、初めての恋に戸惑いもがいていたんだ。

 

また、教室のドアを恐る恐るゆっくり開ける。

隙間くらいの幅をあけて…

顔を少しのぞかせる…

ダイシを探す。

ダイシはどこだろう?

毎回違う席に自由に座るので、探すのに時間がかかってしまった。

あれ?

ん?

いない…いない…

 

その時だった。

私の後ろから誰かがドアを思いっきり開けたのだ。

ドアが全開だ!

丸見えの自分に気づき、とっさに姿勢をぴしゃりとさせた。

ドアを開けた人を見る。

 

かたまった。

声が出ない。

ダイシだったからだ。

 

入らないの?

 

私は、うなずき、大急ぎで教室に入った。

心臓が爆発しそうだった。

逃げるかのように…

適当な席に座った。

 

近くにダイシも座る。

 

なんで、こんな近くに。

無理だ〜何時間も過ごせない。

心臓がもたん。

 

私はまた席から立ち、ダイシから一番離れた空いている席を探した。

あそこがいい…

あそこが安全だ。

戦地はつらい。

私はダイシからかなり離れた席についた。

ダイシが後ろの方で私が前の方だから、よかった。

見るのは好きなくせに、

自分を見られるのは嫌だったからだ。

 

補習の授業なんて、上の空だった。

夏休み補習は…ハードル高し。

 

「あれ、すげさん、何で補習に来てるの?」

 

同じクラスのミツタカが言った。

 

ピンチな気がしたかな…

ミツタカ、なんで、皆んながいる教室で大声で言うんだろう!

 

「すげさん!先生に呼ばれたの?だって、すげさん、テスト良かったよね?」

 

めいちゃんまで…

 

「呼ばれてはいないけど、国語が苦手で授業受けようかなって…」

 

赤っ恥をかく

まさにこのことだと思った。

 

それでも、一目見るために夏休み登校をし続けた私だ。

バカものだと…本気で思った。

猫の道を探しまわるしつこさ。

今度は、好きな人を追いかけるしつこさ。

 

好きな猫。

好きな人。

毎日、一目でいいから会いたいのです。

そのためなら、

赤っ恥をかこうが、損をしようが、傷つけられようが関係なく、直行で突き進むんです。

数秒見るためだけに。

 

この頃から、自分は案外、情熱な女かもしれないと思ったかな…

 

中学校は毎日行きたい場所。

毎日、毎日、休まず、

高熱を出しても中学校に行ってた。

数秒見るために…