いつも空は、曇りときどき晴れ

自分史、人生曇り空ばかりだけど、ときどき晴れがちょうどいい時もある

中学2年反抗期の自分と父親

父親と私は気質がよく似ていると思う。

母親と兄は楽観主義で深く物事を考えない。

父親と私は、物事を深く考え悩むたちだ。

頑固で堅物、情にもろく、損をしようが構わない。

 

ある日、父親が嬉しそうに家族全員に自慢したことがある。

夜遅い時間だった。

父親はわくわくしながら宝物を大事そうに家族に見せようとする。

何だろう…ドキドキだった。

包まれた新聞紙を丁寧に広げた父親

新聞紙の中には粘土のカケラだった。

「何だこれは!ただの粘土のカケラじゃないかぁ!」

兄が言った。

 

父親は自慢気な顔をして、

「これは、縄文土器のカケラで、父さんが自分で発掘したんだぞ。」

父親は得意気に縄文土器の歴史的意味を語り出した。

 

私は、縄文土器のカケラだと知り大興奮した。

本物だぁ〜!

奇声をあげ飛び上がった。

すごい、すごい、感激のあまり父親にたくさん質問をする。

どこで発掘したのか、父親が何歳の時にみつけたのか…などなど質問責めだった。

父親と私は2人で感激して話が盛り上がる。

しかし、兄と母親はまったくの無関心 笑

「ただの粘土のカケラね…」

母親はよく分かっていないようだ。

父親と私は我が家の家宝だと言って、大騒ぎしていた。

宝だ!家宝だ!

大騒ぎする私。

母親と兄はバカらしいと言った表情で、私達を見ていたなぁ。

 

歴史ものが好きなところや、ドキュメンタリー番組やノンフィクションが好きなところは私と父親は同じだった。

 

好みや気質が似ていた父親と私。

 

でも、似ているからこそ、ぶつかり合うことも多い。

父親の考えと私の考えがよく衝突するようになった。

お互い真剣に物事を考えるからこそ、両者とも譲らない。

お互いに頑固だし、なかなか一歩譲ることが難しかった中学生の私。 

中学の私は、たくさんの世の中の不条理に腹を立てていた。

許せない不条理に苛立ち、たまらなくなり、どうしようもない気持ちで熱く小説を書いた。

不条理や考えを書くことで、自分の怒りを中和させてくれるからだ。

いじめ、環境破壊、戦争や飢餓についての小説。

レポート40〜50枚ぐらいにまとめ、親友だけに読んでもらっていた。

親友にとったら迷惑なお願いだ。

親友から意見や考えを示してほしかった。

でも、案の定、親友に見せても、まったく興味がない様子だった。

「面白かったよ。」

その感想ばかりで、だんだん私もいつの日か小説を書く情熱が薄らいでいった。

反抗期の怒りや苛立ちを小説にすることで、私の精神を安定させてくれたのだと思う。

ただ、誰も読む人はいなかったけれど(・・;)

 

小学生の頃は父親が大きく見えたけど、中学になると父親が小さく見えてしまうことがしばしばあった。

世の中の大人に対して、反抗していた。

大人になんかなるもんか!

怒りを覚えている。

大人の都合のいい言動や大人の利己的な行動、さらに世の中の不条理に苛立ち反抗期真っ盛り。

人間はなぜ争いをするのか、人を殺してまで戦争をして何になるのか!

中学生ながら自問自答していた。

両親の都合のいい言動に腹を立てていた。

父親が仕事人間で、早朝から深夜まで賃金の安い仕事をしているもどかしさ。

肩がパンパンなくせに、寝不足のくせに、腰を痛めているくせに、疲れているくせに!

革靴の材料が届くと、まっさきに父親は仕事にとりかかる。

体が辛いくせに、仕事を続ける。

子供なりに心配しているのに!!

心配しているのに気づかない両親。

大人は勝手だ。

大人は都合がいい。

 

多感期の中学生の私はたくさんの不満をかかえていた。

まさに反抗期だ。

 

そんな反抗期だった私が、大人に対する見方が変わる時がきた。

やはり父親の影響だろうか…

 

私はずっと勉強をしてこなかったおバカさんだった。

でも、中学1年の浦井先生の影響で、自分から勉強するようになった。

兄は私の変わりようを見て、たまげていた。

それくらい私は、今までまったく勉強しなかった。

浦井先生に感化されて勉強を本気でやりはじめた。

父親は私の変化に気づいていた。

 

ある期末試験のこと。

美術の課題で彫刻があった。

私のデザインはかなり凝っていて、授業時間では終わらせることができなかった。

美術の先生から言われた。

「明日までに、課題を終わらせ提出するように。」

 

えっ?

明日は、期末試験の英語と数学がある。

数学はなんとかなるけど、英語は少ししか覚えてない。

どうしよう!

 

帰宅後、慌てて英語の勉強をする。

美術の課題が気になって仕方がない。

英語は浦井先生担当だから、絶対満点近くとりたい。

英語の勉強がなかなかはかどらない。

美術の課題が気になって焦り出す。

時計を何度もみる。

22時を回っていた。

美術の課題を諦めるしかないと思った。

美術評価はいつも5だったけど、捨てた。

英語を優先したかった。

浦井先生に英語のテストで喜んでもらいたいからだ。

英語の勉強をひたすらする。

そんな私の様子を見ていた父親が私の前に座る。

畳部屋に和式のテーブルがある。

父親と私は向かい合って座っている。

私は父親に反抗期中。

そっぽを向いて、英語の勉強をしていた。

父親がいつの間にか私の彫刻を手にしていた。

父親が私がデザインした彫刻を掘り出した。

父親の行動に私はどれだけ驚いたことだろう。

だって、今日は急ぎの仕事がきているはずだ。

会社から何度も催促されている莫大な量の材料が仕事場に山のように置いてあるじゃないか。

その仕事を放置して、私の彫刻をしているのだ。

父親は私に言った。

「彫刻は父さんが朝までに仕上げるから、安心しろ、じゅんかは期末試験に集中できるぞ。」

 

父親の言葉が反抗期の中学生娘の胸にジワジワと染み込んできた。

私は、集中して勉強を始めた。

父親も同じく彫刻をひたすら彫り続けた。

お互いに向き合って、反発心はなく、親子で同じ目的を目指しているかのような連帯感だ。

深夜3時頃、うとうとする自分の顔をパチパチと叩いた。

父親もまったく寝ていないのに、眠い顔をせず、ひたすら彫り続けている。

うとうとしながら…父親の姿を眺めていた。

こんな時間まで、自分の作品を手伝う父親を見つめていた。

私は父親に対する反発心が少しずつおさまるのを感じた。

仕事を放置して、たかが学校の彫刻に労力を使う父親

私は父親の何を見ていたのだろうか!

気づきもせず、父親を非難していた自分が情けないと思えた。

 

「じゅんか、じゅんか、起きなさい朝ごはんよ。」

母親の声がする。

和式テーブルの上で寝てしまったようだ。

目をこすりながら向かいの父親を見ると、父親は表情ほがらかに彫刻を持ち上げ、「じゅんか、しあがったぞ。」と、嬉しそうに言った。

父親はどうやら一睡もせず彫刻を仕上げていたようだ。

父親が寝ていない。

私は寝てしまったのに。

父親はすごいや。

 

なぜか、母親の作った味噌汁がいつもよりおいしく感じられた。

顆粒出汁のはずなのに。

おいしい…おいしい…

すごい勉強した感じ。

英語は完璧に覚えた。

父親のおかげでピンチを乗り越えた。

 

反発心の塊だった14歳。

大人に近づくのが怖かったのだと思う。

大人にも大人なりの立場があり、それぞれの役割を必死に全うしているのだ。

不条理なことはたくさんあるけれど、反抗しただけでは何の解決にはならないと気づいた。

不条理なことをどう向き合い解決策を考えていくかが大切だと気づいた14歳。

もう、小説を書く必要はなくなった。

親友のまゆみちゃんには感謝だ。

つまらない小説を読ませてしまったのだから…

 

私の反抗期はこうして終わった。